2015年04月16日

映画の見方10

【映画通と呼ばれる為の、ちょっといい話】
【 映画の見方 10】

【本当に気に入った作品は繰り返し観よう】
これは映画に限らずすべての分野にいえることですが、面白かった作品は繰り返し観たくなるものです。そして二度目に観ると、最初理解できなかったことや伏線など新たな発見があり最後まで楽しく観られたとすると、その作品は本当に面白いと言えると思います。意外にも再見に耐えない作品もあります。若いころ観て面白かったものでも二度目は駄目だったという自己嫌悪に陥るような作品も出てきます。 このことに関して言うと映画は、同時代性を強く求める一面があることが分かります。映画はその時代の雰囲気を如実に反映するものですし、自分がリアルタイムで観られたかどうかも重要です。後追いはどうしてもインパクトが弱まりますね。 作家の小林信彦氏 が「映画で後世まで残るのは、スラップスティック(ドタバタ)・コメディだけだ」と発言されていますが、映画は多かれ少なかれその時代の息吹を感じさせま す。また逆に言うと同時代性を作品の中に感じさせなければ、その時代に製作する意味がありません。そう考えると100年後でも残る作品は、チャップリンやキートン、マルクス兄弟などのドタバタ・ギャグものだけという小林氏の説は、当たっていると思います。 本当に気に入った作品はもう一度観て、今の時代でも耐えうるものか、また面白いと感じられるか確認してください。また最初は主演中心、二度目は助演を中心 に観るというのも一つの方法でしょう。繰り返し観る場合は、「吹き替え」で観ると映像に集中出来て、新たな発見をすることが多いよ。おためしあれ。

【最後に】
映画は、これという見方は存在しません。自分の感性を磨き鍛えることが、最大のポイントです。
ですから、映画の見方は、自分の力でつかみとるものであり、人から教えられてもあくまで参考程度にとどめておくのがよいでしょう。もちろん今私が書いているものもそうです。下書きの途中でこのことに気がついたのです。ねっ、ヤボなこと長々書いちゃったでしょ。 またこれに関して言えば、一生勉強する以外ないのです。勉強というと大袈裟ですが、ひとつひとつの積み重ねで磨いていくものなのです。別に映画に限らず、知識の集約、経験、能力(感性)の開発が、今あなたに求められています。スタートが早い遅いは関係ありません。今すぐにでも始めることが大切です。 めざせ『映画通』『映画の達人』!

■おまけの超マニアックな見方
○あらを探すことに集中して観る。結構こういうファンは多いようですよ。最近の作品で1960年以前の時代設定の場合、役者のコンタクトレンズが写ってしまう(まだ当時コンタクトがなかった)など間違いに気づくと面白いよね。
○作品の中に出てくる劇中映画(テレビで写る映画や劇場で写る映画)は、絶対分かるまで調べる。
○顔に整形の痕跡が無いか、一時停止で調べる。先日、日本テレビの特番でやっていたマイケル・ジャクソンの顔はスゴカッタ。あそこまでやると逆に何故か感心しました。
○自分でキャスティングを直しながら観る。
○最近の作品(特にSFXものやアクション・マフィアもの)をモノクロで観る。まったく印象が違いフィルム・ノワール的に観ることが可能。
○アクションシーンでスタントを使っている場合、どこから吹替え役かチェックする。
○洋服に書かれている文字やタトゥーの文字は、何が書かれているか調べる。最近の作品は、日本を意識しているものが多いので、日本語がよく出てきます。
○俳優や監督の遺作を追う。俳優の場合、もしかしたら死相が出ているかも。
○ホラーは、わざとヘッドフォンをして大音量で観る。気が弱い私は、やりませんが。
○字幕の間違いをチェックする。英語が堪能だといろいろ気が付くだろうなぁ。戸田奈津子さんが字幕を担当した「ロード・オブ・ザ・リング」は、字幕の誤訳が多すぎると論争が起こっていますよ。
○超大物俳優の売れなかった時代の作品で、チョイ役で出ているシーンを探す。
○衣装、宝石、時計、料理などの金額を算定する。
○邦画でのロケシーン(特に東京)がどこかを探す。特に電柱の住所をしつこく何回も巻き戻して必死に読む。
○影がおかしくないか、チェックする。
○ズラでないか生え際などを確認する。
○「猿の惑星」などでお面をかぶっている大物俳優がいないか探す。→無理だっつうの!

posted by 映画のソムリエ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【 映画の見方 】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月09日

映画の見方09

【映画通と呼ばれる為の、ちょっといい話】
【 映画の見方 09】

■映画通になるために
【とにかく一本でも多く観ること】
映画は、文学、音楽、絵画なども同様ですが、相対的な評価しかありえません。生まれて初めて映画を観た人は、単純に面白かったかどうかを決めるしかありませんが、その次に観た作品から初めて、最初に観た作品と比べて面白いかつまらないかを判断することが出来るようになります。ということは少しでも多くの作品を観ていれば、様々な相対的なアプローチが可能になり、より多面的な評価を下すことが出来ます。本数を重ねて観ていくと、同タイプの作品との比較、同監督の以前の作品との比較、ある監督もしくは作品に対する敬意を込めている作品、パロディとして使用 している作品など様々なことを理解することが出来、より深く楽しむことが出来ます。それともう一つつけ加えると、本数を観ていくと当然数多くの駄作または 駄作とまでは言わないまでも自分の感性に合わない作品も観ざるを得ません。意外とこれが重要なんだな。食事でも豪華でうまい物だけ食べていると味覚がバカ になるのと同じ理屈ですね。 個人的な感覚で言えば、是非1000本ちょっとハードルが高いかな、ちょっと落として 500本の作品を観ることを最低ラインとして考えたい。まだビギナーで、これからスタートしたいという意気込みの方は、一週間に二本観たとして、一年で 100本、5年で達成出来る数字です。このくらい観てからでないと相対的な評価は出来ませんし、『通』になるには絶対必要な本数でしょう。一番手っ取り早 いのは、気に入った作品があったら、同じ監督、俳優、同ジャンルの作品をさかのぼって連鎖的に観る癖をつけましょう。または、次のコーナーで紹介する、私 のオススメ作品を片っ端から観るとか、とにかく何でもいいから一本でも多くの作品に触れてください。これは商売がらみの手前味噌では決してありませんよ、 念のため。めざせ500本!

【映画のみならず様々な教養や知識があればより楽しめる】
映画は、まさに総合芸術です。特に洋画に関しては、少しでも多くの知識、情報を持っていればいるほど楽しめることは疑いがありません。舞台となる国の置かれている立場、また歴史や事件を知らなければ、作品を理解できにくいものも多く存在します。 他にも、その原作を読んでいれば、本とどう違うのか楽しめます。原作がある場合とリメイク作に関して言えば、オリジナルのどこを残してどこを変えたのか、元を知っていれば比較が容易に出来ます。 言葉が理解できれば、スラングや駄洒落、ダブルミーニングなど字幕では決して100%理解できない本来の意味を知ることが出来ます。また音楽に強い人は自 分の知っている曲が使用されれば、こういう場面でこの音楽はよくマッチしているとか意表を突かれたなど、より作品に対して考えることが可能となります。絵 画のクローズ・アップがあれば、その絵を知っていれば、その意図を理解する一助になります。 このように映画以外の知識や教養が身に付けば身に付くほど、自然に映画に対する感性が豊かになり、結果的に観る力がアップします。知的好奇心を満たすには、映画は最良のツールと考えます。 監督はほとんどの場合、その映像に意味を含めています。少しでもその意図が分かるようになると、間違いなく映画を楽しく観ることが出来、また次の作品を観 ようという意欲が湧く好循環になります。ただし監督の意図するところをすべて理解するのは、監督以外不可能です。私もえらそうなこと言っていますが、解説 を読んだり、詳しい人から話を聞いたりして初めて気がつくということも多く、まだまだ修行が足りんと自省する毎日です。

【面白さを言葉で言えるように】
文芸評論家の平野謙さ んが「小説の面白さは、我を忘れるか、身につまされるかのどちらかしかない」と看破しましたが、これは一言で小説の本質を言い表しています。映画の面白さ に関しても小説と似ているところはありますが、スタートとしては「何が面白かったのか、どこの場面が面白かったのか」また逆に「何がつまらなかったのか」 を出来るだけ具体的に言えるようにしましょう。 言葉に出す、もしくは字を書くという行為は、自分の意見や意思を確認するのにとても重要な作業です。特に言葉には、皆様が考える以上の力があり、言葉の力−言霊を私も信じています。(ジョン・レノンのカミサン、オノ・ヨーコも同じ事を言っています)言葉に出して言うと、自分もその言葉に対して責任を持たねばなりませんし、自分の感情や意思の確認にもなります。また会話は相手の表情や口調が直接見て取れ、刺激を受ける度合いがまったく違います。 是非一人でも多くの映画を語り合える友達、家族、親戚(誰もいなければメル友でもいいよ)を作ってください。映画の話をすると、お互いの感性の違いや理解の違いなど、また共通の面白かった部分の確認など、その作品に対する印象が深くなってきます。
posted by 映画のソムリエ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【 映画の見方 】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月02日

映画の見方08

【映画通と呼ばれる為の、ちょっといい話】
【 映画の見方 08】

【冒頭のシーンは、要チェック】
最初の15分でだいたい作品の内容、質、レベルなどが分かります。それにより上記に書いたチェック・ポイントを考えましょう。
【数回写された小道具・小物は、後半重要な意味を持つ】
前半で、電話、時計、宝石、メガネなどが数回クローズ・アップになったり、会話のネタになった場合は、後半にそれ自体が重要な役割をすることが多いです。特に引き出しにある拳銃や壁にかけてあるライフルは、一回でも写されたら間違いなく後半それが重要な場面で使用されるでしょう。
【色ずかいで場所、時空間を変える】
画面の色をフィルターで変える場合、場所ごとに色を変えるパターンと時間(時代)の違いを色で変えるパターンがあります。最初は薄い色のフィルターで後半現実に近づくにつれ、色が濃くなることもあります。もちろん夢や回想シーンで色を使い分けるのは一般的です。
【手持ちカメラ(ハンディカメラ)のアングルに注意】
監督自身の精神状況が、無意識にアングルを変化させることもあります。上から下に向けたアングルを使う場合は、精神的に内向的なときであり、逆に下から上の時は前向きなときと言えます。ラース・フォン・トリアー監督など、これを逆手に取る場合もあるので注意。
【主人公のいる場所に注意】
例えば主人公の住まいや仕事場が、やたらビルの高い階に設定されていて、後半その主人公がボロボロになっていく場合は、『転落』を意味しています。ストーリー的な転落と高い場所から下に落ちていくという意味を掛けています。もちろんその逆も。
【ダンスは、セックスの前戯の意味】
【斜めの構図のカットは、犯人を意味する】
【何人かの俳優がいて、一人の俳優の背中から撮るシーンでだんだん近づいた時は、その背中が写されている俳優は、刺されるか撃たれる】
【激しいシーンではクラシックなど静かな音楽をかける。その逆もあり】
【各映画祭で助演男優賞、助演女優賞を獲った作品は、はずれが無い】
posted by 映画のソムリエ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【 映画の見方 】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月26日

映画の見方07

【映画通と呼ばれる為の、ちょっといい話】
【 映画の見方 07】

■ジャンル別 見方3番勝負
作品をジャンル別に分け、それぞれ特別に三つのポイントを考えてみました。もちろん今まで書いてきた基本的な部分(人間が描かれているかなど)は、すべてのジャンルに共通ですので除外してあります。

【ドラマ 人間ドラマ・青春ドラマ
感情の起伏の表現が自然かどうか。
ストーリーに今、生きている時代を感じさせるものがあるか。
ラストに将来の希望、観るものの想像力を掻き立てるようなものがあるか。
【社会派ドラマ】
問題の本質にまで迫れているか。
従来のアプローチとは別のやり方で描いているか。
実話ものは、歴史的社会的にみて、描く価値があるかどうか。
【史劇】
今、製作する時代的な意味はあるのか。
歴史的事実が曲解されず、きちんと描かれているか。
スペクタルな見所はあるか。
【ラブ・ストーリー】
二人がくっつくまでの過程に出てくる障害の描き方に現実味があるか。
しゃれた会話が出てくるか。すなわち脚本の出来がよいか。
主演の女性(女性の場合は男性)が、自分の好みかどうか。ハハハ、結構重要かも。
【サスペンス】
犯人が納得できるか。ラストに行き着くまでのロジックに破綻(偶然が多すぎるなど)は無いか。
伏線の張り方にセンスがあるか。
緊張感を高めるカメラワーク、演出があり、ハラハラドキドキするか。
【サスペンス スパイもの】
作品の背景に同時代性があるか。
スパイグッズに見所はあるか。
主人公(スパイ)に人間的魅力があるか。
【アクション】
アクションシーンの演出にお〜っとうならせる見所はあるか。
かけた製作費に見合うものがあるか。
敵は、手ごわいかどうか。
【バイオレンス マフィアものを含む】
主人公が暴力的な行動をせねばならぬ理由が提示されているか。
バイオレンスシーンの演出にう〜っとうならせる見所はあるか。
アウトサイダーとしての心情が描かれているか。
【パニック】
状況説明がなされているか。
パニックシーンのSFXに迫力があるか。
危機を救うアイデアに新鮮味があるか。
【戦争アクション】
最低限の歴史的説明があるか。
戦争シーンでの地理的な解説がなされているか。
戦争シーンがセコくないか。特に軍隊の人数。
【SF】
美術を含めたヴィジュアルの出来はいいか。
未来の社会が、ある程度納得できるものか。
SF的なイマジネーションにとんでいるか。
【ファンタジー】
夢と冒険に富んでいるか。
ヴィジュアルに見所はあるか。
神話的な要素が含まれているか。
【ホラー モンスター系】
モンスター自身のヴィジュアルはイケてるか。
モンスターは強いか。
何故モンスターになったのか、または出現したのかが納得できるものか。
【ホラー スプラッター系】
血まみれシーンにいくまでの過程で怖いか。
何故かわいい女の子がパンツ一丁で夜中ウロウロするのかなど、ホラーでなくては納得できないノリがあるか。つまり笑える要素があるか。
敵が、殺しても殺しても死なないぐらい強いか。
【ホラー 心理ホラー系】
見終わった後、トイレに一人で行けないほどジワジワ怖さが襲ってくるか。
恐怖を倍増させるカメラワーク、演出、音楽(音響効果を含む)にセンスがあるか。
決して人に話してはいけないような結末が用意されているか。
【コメディ】
笑えるかどうか。→当たり前だっ、つうの。
どんなフラ(キャラ)で笑わせるのか。
主人公が魅力的かどうか。
【ブラックコメディ】
差別ネタなど会話で笑わせるものは、ギャグにセンスがあるか。
本当にブラックかどうか。
どの程度、時代性、諧謔性があるか。
【ミュージカル】
歌と踊りのレベルが高く、ミュージカルシーンにワクワク出来るか。
曲自体が良いか。
ミュージカルシーンがストーリーの流れにあっているか。
【カルトもの】
斬新な実験精神があるか。
監督の妙なこだわりやセンスに共感できるか。
使い古された手法ではないか。
【ドキュメンタリー】
素材が興味を引くものであるか。
切り口が斬新か。
どういう意図で製作したかをはっきり提示しているか。
posted by 映画のソムリエ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【 映画の見方 】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月20日

映画の見方06

【映画通と呼ばれる為の、ちょっといい話】
【 映画の見方 06】

【音楽】
やはりいい作品には、いい音楽がつきものです。「第三の男」や「禁じられた遊び」のギター、「スティング」のスコット・ジョプリンの弾くラグタイム・ピアノ、「明日に向かって撃て」のBJ・トーマスの歌、そして007のテーマソング、えっ例えが古すぎるって。ゴメンゴメン。最近では、「スタンド・バイ・ミー」のベン・E・キング(まだ古いぞ)それでは「タイタニック」のセリーヌ・ディオンのテーマ曲、などなど枚挙に暇がありません。このように作品名を見ただけでパッとメロディが出てきたりするような心に残る音楽があるかどうかは、重要なファクターです。やはりこれもその人の音楽的感性と、どの程度音楽を聴いてきたかで、まったく違うでしょう。 やはり基本は、その作品の内容に合致したものであるかどうかが問われると同時に、その曲自体の出来の良さがあいまって、インパクトを持つと考えます。コーエン兄弟の「オー・ブラザー」はストーリーと曲がベストマッチでした。「ゴーストワールド」や「クロスロード」など音楽自体がストーリーのポイントになっているものもセンスを感じられれば、評価は高くなります。私の好みは、すでに発売している曲を使用するのでなく、その作品のために書かれたオリジナル曲が好みです。思わずサントラ盤を買いたくなるようなものでしたら最高だね。 また映画の中で登場人物が直接歌ったり演奏したりするシーンも、それが素晴らしければ大きなプラスポイント。好きな音楽によるダンスシーンも観ていて楽しいですが、ダンスにはセックスの前戯の意味合いがあるので、その辺も注意して観て。

【ファッション(衣装)】
これは私の興味の対象外なので、詳しいことは言えません。ただ背景となる時代感覚を巧く取り入れているかどうかは、重要です。1970年代80年代を描いている「ブロウ」という作品でジョニー・デップが着るファッションは、当時の雰囲気を感じさせるもので、また落ちぶれていくにしたがって、せこい服装になっていく様は、私でも感じるところがありました。また「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーンの髪形など世界的な話題になりました。  また服装の色や服装自体の派手か地味かで、人物の内面を表している場合がありますので注意して観てください。最近日本では、ストリート系やクラブ系で派閥 によりファッションの色が決まっているそうですね。私は気がつきませんが、そういう傾向も映画でもあるかもしれませんね。

【編集】
編集の重要性は『映画の歴史』でも書きましたが、最終編集権(ファイナル・カット)を誰が持っているかでかなり変わり ます。監督が持つのが当たり前なのですが、ハリウッドでは一部の力のある監督を除いて、製作会社側が持っています。試写システムで事前にお客の受けが悪い 部分は、カットしたり取り直しをしたりします。これを推し進めると、徐々にレベルが下がるのは理の当然で、ハリウッド大作のレベルが低くなるのではと特に 心配です。編集で最も大事なのは、リズム感。カット割りされたフィルムをどう編集するかで、作品の質がまったく変わります。リズム感と言っても細かくリズミカルがいいという訳ではなく、その作品の質にあわせた独自のテンポが不可欠という意味です。 ミュージカル「ムーラン・ルージュ」や「エビータ」の歌と踊りの場面で、あまりに細かすぎるカット割りは、閉口ものでした。じっくりと聞きたいシーンでしたので、もっと落ち着いた編集だったら、より評価が上がりました。 またフラッシュバックやインサート・ショット、イメージカットなどは、その場面の感情や雰囲気に合っているか、何か監督の意図があるのでないかを探ることも重要。

これらすべてを監督がどう作品としてまとめているかを見たうえで、その作品の評価をする必要があります。そういう全体的な評価でポイントが高い場合と、どれか一つ突出して素晴らしいものがもしあれば、それだけで納得できるという2パターンがあります。 ただ人間の感情は複雑で、上記のようにすべて合理的に判断出来る訳ではありません。観ているときの精神状態、健康状態などで評価が変わる可能性は多々あ ります。人間が下す判断ですので、感情に左右されることは避けらませんが、出来る限り客観的に考えるようにしましょう。
posted by 映画のソムリエ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【 映画の見方 】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月16日

映画の見方05

【映画通と呼ばれる為の、ちょっといい話】
【 映画の見方 05】

【カメラワーク】
この項は、かなり「異論、反論、オブジェクション」があると思いますが、私の意見を言わせて頂きます。私は、カメラワーク(カメラが演出意図に合わせ操作すること)に関しては、もうほとんどパターンは出尽くしていて、やはり基本を守ることが一番と考えます。ストップモーションやスローモーションの安易な使い方にはうんざりします。特にスローモーションは、CMの影響なのかサム・ペキンパーの影響なのか不明ですが、勘違いしている人が多いようです。何度も繰り返し使われると、いい加減やめてくれ〜と腹が立ってきます。映像の流れを間違いなく削ぐと思うのですが・・・。 ただ小津安二郎監督のロー・アングルやラース・フォン・トリアー監督の手持ちカメラなどそれが持ち味になっている場合や、ヒッチコックの「めまい」での真上で回るカメラワークなど作品やそのシーンに合っているものを非難しているわけでは決してありません。むしろこういう演出上必要なカメラワークは、名画には欠かせません。
また長回しの良し悪しもあります。長く回せば良いという問題ではありませんが、ロバート・アルトマン監督の「ザ・プレイヤー」やブライアン・デ・パルマ監督の「スネーク・アイズ」での冒頭13分に渡る長回しは文句なしにカッコイイ。ヒッチコック監督の「ロープ」で は現実の1時間半を1シーン1カットで撮った(フィルムを変えるときは背広の裏側などでつないでいます)という究極のものもあります。ただ固定カメラでの 長回しの多用は、退屈なものも多いですが。そもそもフィルムは、1ロール約14分です。画面の右上に瞬間的に丸が出た場合は、フィルムを交換した目印です が、これが出た場合は技術的にダサいと思ってください。

カメラワークの一番重要なことは、構図で しょう。どの角度からどのようなサイズで撮っていくのか、非常に奥が深い問題であり、一概にこれが良いとか正しいと言えるものではありません。カメラ・ア ングル(対象物との角度)は、高い位置から撮るハイ・アングル(俯瞰)、下から上に撮るロー・アングル、正面からのフラット・アングルがあります。カメ ラ・ポジションは、同一画面内での移動によりポジションが変わったり、アングルを変えないでポジションを変えたり、クレーンで変えたりするなど様々な手法 があります。 ただクローズ・アップの多用は演出の自信のなさの現われ、もしくはスターにするための会社の指示と言われています。またサスペンスでは、斜めの構図で撮った場合は犯人であることが多いです。(最近のものは何でもありなのでこのパターンは当てはまりませんが)
あと重要なのが色の使い方。監督の指示ですべて決定する場合と全権をカメラマンに委譲している場合は、カメラマンのセンスで決定します。有名なのは、北野武監督の青。いわゆる『キタノブルー』や「トリコロール青・赤・白」では、それぞれタイトルに合わせて全体の色を使い分けています。だいたい作品の内容で色使いを決めています。静かで暗い内容なら青というように。コーエン兄弟の「バーバー」を観ると、白黒かカラーかはもはや重要ではない気がしています。(白黒バージョンとカラー二種類リリースされています)両方観ましたが個人的には白黒でもカラーでも違和感はありませんでした。やはり作品の質が重要で、クラシックと言われる古い作品も同様に考えます。 また映像の質感も使用するカメラによって違います。デジタルカメラの鮮明さ、35ミリの従来の質感、どちらがよいという問題ではなく、作品に合っているかが問題です。

【美術】
まずは、セット。どういうセットを組むかで作品の印象が大きく変わるものもあります。例えば「ロスト・チルドレン」や「未来世紀ブラジル」を 観るとセットの重要性がよく分かります。特にこのようなSF作品では、セット自体がSFを盛り上げる大きな要素となりますので、ただ金を掛ければいいとい う問題ではなく、やはりセンスが問われるでしょう。車や飛行機などは、アクションものでは重要です。もちろんオープン・ロケ(スタジオでなく外での撮影) は、どのような場所を選ぶかが重要です。要はこういうジャンルの作品にはこのレベルといったものを使用せざるを得ません。また電話や時計など小道具は、サスペンスなどで重要な役割を担う場合もあります。小道具の使い方がうまい作品は、プラスポイントが高い。同じ小道具を数回映した場合は、必ずそれに意味があることが多いですよ。 これらの美術と先に書いたCGやSFXを、どのようなカメラワークで見せるか、これが観る側からいえば、ヴィジュアルがいいとかヴィジュアルのレベルが低いという表現につながります。
posted by 映画のソムリエ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【 映画の見方 】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする